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特許申請中

前回の松本弦楽器版エンドピンの歴史を書きましたが、実はこれには続きがあって前回記事を書いた時には公表できなかったのですが、ようやく陽の目を見ることができます。

今、1番最新バージョンのエンドピンはこちら

これだけ見るとよくわからないと思いますが、ピンは今まで通りフェルナンブーコピンを使用し、台座の形が変わりました。

台座も真鍮の部分以外はすべてフェルナンブーコでできています。

そしてなんと言ってもネジが無くなってしまいました!

簡単に構造を説明すると、以下の二つのパーツからできています。

 

 

これが台座に当たる部分、単純にテーパー状に穴のあいた台座で真鍮部分は割れ防止のために入っています。

ネジ穴や樽などピンを押さえるものはありません。

下のものは1番上の画像では真ん中のドーナツの様なところです、特徴はテーパー状になっていて軸上にワリがあることです。これが台座の中に入っています。ソケット、インナーなんて言い方をしています。

ピンをソケットに差し込み台座の中に入れてソケットを押し込むとソケットに入っているワリが締まりピンが入っている径が小さくなることで台座全体でピンを抱きかかえるように締め固定する仕組みになっています。

構造はいたってシンプルですね。ありそうで無かったものです。

 

なぜ、こんなものを作ったのか? 答えはこれまでのエンドピンの歴史の中にあって、今まで改良してきたエンドピンは材質による質量の軽量化、ネジを金属から木材にしてみたり、黒檀からフェルナンブーコにしてみたり試行錯誤を重ねてきました。

そしておそらく楽器の中心から外側に重さがかかること、ピンを1点で止めることによる台座の中の隙間(遊び)による力のロスが無ければより良く音に返還されるのでは?という結論になり

じゃあネジ無くしてエンドピン留めるの考えるか!!

から始まりこのような形になりました。

最初に作って実際に試してみたとき、これまでネジを木で作ったり、雄ネジまで木や牛骨で作ってみたりして少しずつ前よりはいいね!とかこれは全然ダメだったな~なんてことを繰りかえしていた所から全然違う領域に飛びぬけてしまっていたことに驚きました。

それほどまでに楽器の中心から外側に重さがかかるとバランスが崩れること、ピンを1点で押すことの力のロスが響いていたんだと実感しました。

この台座にすることで倍音がものすごい増えて、音の立ち上がりもとても速いのですが、逆に余分に鳴らないために音の収束も早くなりました。 これで音の響きが減って音が鳴らくなったという方もいらっしゃいました。

ただ、その分今まで雑に弾いていたところを丁寧に弾くようになったという人もいます。

そしてこれまでのエンドピンは音が遠鳴りするためにスタジオや、録音には少し不向きでした、最初は新しい台座は余計に音拾わないんじゃないかと思いましたが、意外にも良く音が入るそうです。多分、音の成分が沢山増えたことによって今まで出ていなかった周波数帯も出るようになったからではないかと思います。

構造がシンプルな分精度がとても重要でピンを絞めるソケットのテーパーと台座のテーパーが少しでも狂うときちっと止まりませんしピンに太さのムラがあってもソケットがうまくスライドしないのでスムーズに長さの調節ができません。これまでの台座作りより遥かに面倒臭くなったことは言うまでもありません(-_-) 材質が木材なので季節や湿度による材料の収縮にもバッチリ対応できるそうに設計されています。

このピンはこれまでのエンドピンを留めるシステムとは違うのでお客さんに特許取れば?と言われ最初は別にわざわざ取らなくても良いんじゃないかと考えていましたが、誰かに権利を取られて自分たちが作れなくなるのは嫌だな…これからの改良点なんかもあるかもしれないし…やっぱり特許取るか!! というわけで

特許申請中です。

エンドピンに関してはこれが最終形態だね、なんて言っていますがどうでしょうか?まだ何かあるかもしれませんね、その時はまた工房の片隅でマスクとゴーグルをつけた怪しい人物がフェルナンブーコこちょこちょ弄っているかもしれません(^^)。

ここまでが前回から続いたエンドピンの歴史(松本弦楽器Ver.)でした。

長くなりましたが、読んでくださった方どうもありがとうございます。

ではでは。

 

 

 

エンドピンの歴史(松本弦楽器ver.)

これまで、フィッティングの話の中でチェロのエンドピンについて書いた回がありました。

今回はそのエンドピンの話を少し深掘りしてどうやってその形になったのか、松本弦楽器のエンドピンの歴史をお話ししていきたいと思います。

 

まず最初に一般的にチェロのエンドピンはネジの向きが楽器を正面から見たとき左側に付いています。これは演奏者がピンの長さを調整するときネジの向きが左側だと演奏者の手前にくるので調整しやすいためにその向きについていると思うのですが、松本弦楽器は正面から見たときは見えない位置、つまり下向きに付いています。

理由は楽器の片側に重さが掛かるので楽器の左右のバランスが悪くなるから重さが掛かるなら真ん中にかかれば左右のバランスは取れるためです。

それを踏まえてスタートします。

 

 

1つ目のエンドピンは台座を軽量化しネジも削り込んだものです、これは既製品の台座を真鍮部分を軽くすることによって楽器全体の重さを軽くして楽器にかかる負担を少なくすことが出来ました、もちろんネジは下向きです。これは1991年に既製品の改造バージョンとして親方が作ってみたところ元々のものより格段に楽器の反応が良くなったので以後この形で使っていたそうです。すべてはこれから始まります。

 

 

 

2つ目は昔あった黒檀のピンでできたエンドピンの台座を再現してピンを黒檀で、台座を元々あるものを改造したものです。一つ目と二つ目の大きな違いはピンが金属製から木になったことです、また、ピンを抑える構造がピンをネジで直に押す構造からピンを押すものが台座の中にあってそれをネジで押すことにより固定する構造になったためネジの軽量化も出来ました。これは2001年に最初に作ったそうで、できたばかりの頃はガット弦を使っている人にはとても合うけどスチール弦やナイロン弦には合わないだろうと思いあまり積極的に交換しなかったそうです。ですが試しにスチール弦を張っている楽器に1つ目のものから取り替えてみたところこれまた格段に音が変わることに気づいて交換し始めたそうです。

 

3つ目は2つ目の台座を最初から製作したもので構造はほぼ同じですがネジのうちわまで木で出来ていますピンを抑える受けを押す中心のねじ部分が真鍮で出来ている構造で大した変化がないように思うかもしれませんがこれが劇的に変化しています、この時僕は単純に素材での軽量化が楽器の負荷を減らし余分な重さを減らすことで楽器のバランスをよくしているものだと思っていました、それがハズレではないけど正解ではないことに後から気が付きます。これは2012年からです。

 

 

 

4つ目は2014年から作り出したもので以前フィッティングの話でもご紹介したもの、3つ目のエンドピンの材料が弓の材料であるフェルナンブーコになったものです、詳しくはFittingの話エンドピンの部をご覧ください。これが松本弦楽器エンドピンの変遷です。

ここから先のバージョンアップはもう無いのではなんて言われていましたがちっちゃくバージョンアップはしています

が、それは次回にお話ししたいと思います。

お楽しみに!

 

楽器屋さんでライブ5

だいぶ遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

今年もマイペースにブログを更新していきますのでよろしくお願いいたします。

さて、1月13日に楽器屋さんでライブ第5弾が開催されました。

今回もバイオリン奏者の喜多直毅さんの主催でベース奏者の西島徹さんとのデュオでした。

お二人のそれぞれのオリジナル曲やアレンジの曲など1時間の演奏でした。

いつもは工房にお客様12人限定で開催しているのですが、今回はなんと18人!さすがに全員座るのは無理かなぁなんて思いつつ椅子を配置してみたところ…

いけました!!少し狭い感じは否めなせんでしたが全員椅子に座ってのライブができました。

次回からは会場のキャパが若干増えてお知らせすることになるかもしれないですね(;^_^Aほんの数名ですが。

今回のお二人のデュオは次回3月25日また当工房にて開催されますのでご興味のある方は喜多さんのホームページからお問い合わせください、松本弦楽器では受け付けはしておりませんのでご了承ください。

喜多直毅Website http://www.naoki-kita.com

また、工房でライブがしたいぞ!!という方がいらしたらご連絡ください12名限定となりますがサロンコンサートみたいな感じで中々良いですよ(^^♪ちなみにピアノは入りません※当店のお客様に限ります。

 

楽器屋さんでライブ4

fullsizerender先日第4回目となる工房でのライブが開催されました。

実は3回目も開催されたのですがブログに更新するのを怠るという失態を犯し、記事を書くことなく4回目が開催されました(;^_^A

ここで挽回とばかりに3回目のライブの様子を少しだけ…

 

fullsizerender-13回目は第1回目から演奏されてるバイオリンの喜多直毅さんのソロライブでした、無伴奏のバッハやオリジナル曲など演奏され途中ではアクシデントもありお客様はとても楽しむことができたのではないでしょうか。

工房でのライブのメリットは何が起きても(例えば演奏中に駒が割れてどこかに飛んでいこうとも)替えの楽器がすぐ後ろにあるということですね! 隣の部屋で演奏を聴いていた僕は最初バチーンという音を聞いたとき何処を弾いたらこんな音がするのかなぁなんて思っていたら実は弾いているときに駒が割れていた音でその後喜多さんは何事も無かったかのように口笛を吹いて演奏を続け壁に掛かっている楽器をおもむろに手に取り演奏を再開。何があっても演奏し続ける、やはりプロは凄いです、自分も見習わなければならないと思いました。

そして4回目のライブではお馴染みバイオリンの喜多直毅さんとウード奏者の常味裕司さんのライブでした。

僕はウードという楽器を知らなかったのですがアラブ音楽などで耳にする楽器で起源はとても古くリュートに似ていて、それもそのはずウードをアラビア読みすると(al-ʿūd)となってそれがヨーロッパでLの文字を強調して呼んでリュート(Lute)となったそうです。ウードの意味はそのまま「木」という意味だそうです。

音は聞いてみたらアラビアの音楽といえばこんな感じ!というイメージそのままちょっとミステリアスな哀愁漂う音楽でした。 ※ミステリアスで哀愁漂うというのは僕の勝手なイメージです

びっくりしたのは某女子十二楽坊で有名になった「自由」という曲、もともとトルコのオスマン古典音楽としてあってとてもスタンダードな曲で「Longa Shahnaz」というもので常味さんが以前知人から「テレビで女子何某が弾いている曲はあれじゃないの?」と言われて聞いてみたら「自由」だったということです。 興味のある方は是非1度「Longa Shahnaz」(ロンガ・シェフナーズ)を聞いてみてください、結構面白いです。

そんなウードとバイオリンのデュオはアラブ音楽が主で僕はもちろん初めて聞いたわけですが、とてもマッチしていてバイオリンはこんなに表情豊かな音楽ができ色んなジャンルで楽しむことができるのだと改めて思いました、何となくバイオリンと言えばクラシック音楽でしか縁のなかったのでこれからはもっと色んな音楽に触れて自分の感性を磨いていこうと思った日でした。

 

ライブ@松本弦楽器 2

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2月18日に工房で2回目となるライブが開催されました!

前回のデュオの御二人、喜多直毅さん&さがゆきさんによる演奏会でした。

僕たちは前回同様スタッフとして動いていたのですが、ライブハウスのスタッフさんの気持ちが少しわかった前回からの教訓を踏まえ、如何にスムーズにライブを滞りなく運ぶかというライブの演奏者とは別の視点で裏方としていかにサービスできるか(主役ではないので当たり前ですが…)奮闘していた第2回演奏会でした。

また、今回は主催者のviolin演奏者喜多直毅さんのバースデーという事もあり演奏の終わった後にはサプライズ(?)も有り特別なライブになりました。喜多さんお誕生日おめでとうございます!12735725_1316064165086385_1521421202_n

当工房でのライブは大人数入れるキャパが無いので少人数での開催となりますが少人数には少人数なりの良い感じがあるなぁーと思います。なにせ演奏者が目の前にいますから!コンサートホールではまずない親近感!!そして躍動感!!! そして予定通りに行かないプログラム!!!!これが醍醐味ですね(^^♪(完全に裏方目線での話です、演奏会はもちろん滞りなく素晴らしい演奏で進行しました(;・∀・))

二回しか開催していませんが、次やるならこんな感じが良いなーとか照明の角度とかこの方が良かったな~とか勝手に思ってます。

毎回思うのですが、次回は今回よりももっと良くしたいと思うのです、もちろん僕はそのスポットライトには当たりませんがその結果演奏者の方たちのパフォーマンスパフォーマンスがより良くなればすごく嬉しいし、普段できない経験をさせてもらってとても楽しいのでまたやりたいなぁと思います。

 

Fittingの話3

前回アジャスターのお話をしてから早半年、親方にもお前最近更新さぼってんな~と言われ、お客さんにも最近更新止まってますね~と言われ、あーやんなきゃなーとか思って時間だけが過ぎていった結果です。もし、こんな記事でも楽しみにしてくださっている方がいて待っていてくださったのであれば本当に申し訳ありませんでしたm(__)mやっと書きました!!ホームページはまだ閉鎖してません生きていますよ!

というわけで今回は顎当てのお話です。

今は普通に目にする顎当てですが昔のバロック楽器の時代には顎当てはありませんでした。元々のバイオリン属は顎と肩でがっちり挟んで弾くものではなくて腕の付け根あたりに軽く押しつけて引っ掛けるようにして弾いていました。

それから徐々に元々ハイポジションまで使わなかったバイオリン属でハイポジションまで使うことになり速いパッセージ等も弾くことになり弾きやすさを求めて楽器を固定するのに便利なように顎当てや肩当が誕生したのではないかと思います。少なくとも、パガニーニの生きていた時代には顎当てを付けるのは主流ではなかったと思います。

パガニーニは写真は残っていませんが絵が数点ありどれも顎当ても肩当ても付けていません。興味のある方はパガニーニで画像検索してみてください。

そうして、顎を固定したほうが弾くの楽だし、安定もするじゃないか!しかも汗をかいたりしても楽器に汗がつきニスをダメにすることもない、ニスも服に付かない、と多分このような理由から普及していった顎当ては片側に付けるタイプが始まりで今ではオーバーテールピース型というテールピースを跨ぐように固定するタイプのものが主流になりました。このオーバーテールピース型は楽器に対し下ブロックのある位置から左右で固定する様になっていて片側タイプのものより左右均等に圧が加わるのでバランスが良い、またテールピースに顎が触れにくいためにテールピースに触れることによって弦の振動を止めてしまうこともないと言われています。

確かに片側だけに重さがあるより左右にあるほうがバランスは良いしテールピースも触れないほうが振動を止めないので良いと思います。…が、実際に使用している方の顎当てを見るとテールピースに顎が思いっきり当たってますし、振動はブロックの左右から固定しているタイプのほうが止まっています。何より重いです。あと、無駄に大きいと思います。弾いているときに顎の乗る位置というのはそんなに大きな面積ではないのに何故あんなに大きいのか不思議です。特にビオラ用の顎当てに関しては楽器は大きいですが弾いている人間はバイオリン対ビオラほど人間が大きい訳でもないし、ビオラを引く人が特別顎が大きいわけでもないのでビオラ用としてわざわざ大きなものを付ける必要はないと思います。(もちろん体格差や骨格の違いなどは関係してくると思いますが)

文句ばかり言っていますが、オーバーテールピース型の営業妨害したいわけではなく片側タイプのものでも同じことです。そんなに大きさ必要ですか?もっと楽に楽器を構えてみませんか?というわけでこちらです。IMG_0897 rest

 

これは楽器に付随するパーツ(顎当て、肩当て、エンドピンなど)の無駄を減らしてくると楽器そのものの本質が出てくる。じゃあ無駄な部分はなんだ?という所から始まり顎当てを見ていたら触れている部分というのは実はそんなに無くて外側の部分は殆ど触れてない、じゃあそこはいらない。

金具も軽いので良いや、普通2本だけど1本でも押さえられるんじゃないか?じゃあ1本にしてもその位置は真ん中に近いほうがいいのか外側なのか…なんてことをやっていたらこうなりました。

顎の乗っている部分は人により違いますが大体の方が真ん中テールピースの脇あたり、それより外側にはあまり触れていません。バイオリン、ビオラを弾いている方がいれば実際にご自身の楽器を見てもらえれば分かりますが、汗などが染みて変色していれば尚わかりやすいです。

形は人それぞれ顎の高さや形も違うのでこの形だけではありませんが、1本脚の効力はなかなかびっくりしました。穴の位置は顎当ての中心より少し外寄りが良かったです。これはチェロに修理用のクランプを挟んで位置をずらしながら実験していたのですが、テールピースに近いところはブロックがあるので振動を止めてしまうのでよくないだろうと思い段々外側にずらしていったら外過ぎるとまた真ん中に近いところで止めていた時と似た感じがしてきてとてもびっくりしました。おそらく力学的にはちゃんと理由があるとは思いますが、そこまでしてません(;´・ω・)

この形にするとまず楽器をがつっと固定しにくくなります、逆に楽器が肩と顎の間で割と自由に動かせるようになります。これを悪いとするか、良いとするかは個人の自由です。固定したい人は窪みの深い形の顎当てで肩にあった肩当てをすれば良いと思いますが、逆に自由に動かしたかった人向けのものというのはあまりありませんでした、新しく出てくる商品も楽器を固定する方向のものがほとんどですし。そして何より見た目の小ささ通り軽い、楽器本体にかかる負担は大分減りました。金具の足もチタン製で軽量です、こんな話は前回のアジャスターの話でもしていたかもしれません。

脚を1本にすると物理的な話で質量は当然軽くなり、また押さえる個所も1か所で振動を止めるポイントも減ります、すると楽器にに対しての無駄な部分が減り楽器本来のパワーが出てくるということです。

つまり、常に引き算をしているということです。普通アジャスターや顎当ての売り文句としては「これを付ければ楽器が良い音になりますよ~」だと思いますが、ここで言いたいのは「無駄を無くしてくると楽器の本来の音が鳴ってきますよ~」です。全然真逆のことをやっているわけですね。人で言えば化粧をどんどんするのか、どんどん化粧を落としてすっぴんになるのかといったところでしょうか?

 

 

…あれ?いつも同じことしか話していませんね(;^ω^)

 

 

 

普通の顎当てを2本脚から1本脚にするだけでも大分変るので顎をフリーにするのは少し抵抗ある人にも優しいtune-upです。

顎当ての話でした。

次回はエンドピンの話です。エンドピンと言ってもチェロの話ですが、これまた見慣れないものが出てくると思いますのでお楽しみに(*‘∀‘)

 

 

看板

open今日はいつものFittingの話を少し中断して、全然関係のない話をしようと思います。

元々僕はアマオケなどで楽器を弾いていたわけでも、専門的に演奏を習っていたわけでもなく昔少しバイオリンを習っていた程度で自分で楽器屋さんに行って楽器の調整はもちろん毛替えをお願いしたこともありませんでした。と言うかそういったことをするものだと思っていませんでした。たぶん先生にお願いしていたのかもしれませんが記憶がありません(^_^;)

そして何の気まぐれか分りませんが専門学校で楽器作りを学ぼうと思いESPに入学して初めて「楽器ってメンテナンスとか毛替えっていうものをするか!!今までしたことないぞ!!」と、焦ったわけです。弦が切れたら新しいものに交換するくらいはしてたと思いますが・・・弦の種類や芯線の違いまで理解して交換してませんでした。同級生にはアマオケで弾いている人や知識豊富な人もいて楽器屋の話や弦の話、松脂は何を使っているだとか色々話していて、何の話をしているのかさっぱり分らなかったのを覚えています。

楽器屋さんと言うものに行ったことが無いわけではないですが、ヤマハや山野楽器位しか知りませんでした。クロサワ楽器も知りませんでした、同級生には知らなさ過ぎだろと言われましたが、みんながどこからそういった情報を仕入れてくるのか不思議でした。今思えばオケのメンバーや雑誌などでしょうね、とにかく物知りなのが何人かいました。

そんな感じで学校生活を送っていたわけですが、ある日せっかくバイオリン作ってんだから専門の楽器屋に行かなくてどうする!と思い立ち、学校のある高田馬場のお隣の駅、新大久保でクロサワ楽器と言うものがあるという情報の元、足を運んでみようと新大久保の駅に降り立ちました。これまで専門の楽器屋さんに縁が無く言ったこともなかった自分にとってはクロサワ楽器もドキドキでちょっと緊張していました。

いざ、入店すると店員さんが寄ってきて「楽器をお探しですか?良ければ弓もお出ししますよ?」

やばい・・・軽く店内を見られる雰囲気じゃない・・・しかも楽器が全部ガラス棚の向こう側じゃないか・・・僕にはレベルが高すぎる・・・チキンな若かりし井田は完全に楽器屋さんオーラに飲み込まれました。

それでも何度か行くうちに慣れてきて普通に、ただ見に行くだけでもできるようになりました。レベルアップです。

そして、さらなるレベルアップを目指し都内楽器工房巡りを同級生と一緒に敢行しました。調べてみると知らなかっただけで沢山の工房がありましたが、大体どの工房もマンションやビルの一室で1階に店舗のあるお店の方が珍しいことも解りました。

お店の中が見えない。1階ではないマンションの一室。この時点でハードルはグーンと上がります。が、挫けずに連絡してみます。「専門学校の学生なのですが、工房の見学してもいいですか?」

「見学とかやってないので」 「一見さんお断りなので」 心が折れそうです。

ですが何軒かのお店では了承していただけたので店内を見させて頂けることになりましたが、お店に向かう道中はかなり緊張しました。そしてお店の中へ入ると大体のお店が少し薄明りの照明で、イギリス製のアンティーク家具があり、その家具の中にこれまた高そうな楽器たちが展示してあります。これはもはや素人が易々と足を踏み入れていい場所ではないと当時の僕は思いました。そんな所で楽器見させて下さいなんて恐れ多い言葉は出てこずにチキンな僕たちは工房を後にしました。

おそらく、どのお店もそんなことはなく僕のチキンハートのせいなんだと思いますが、往往にして個人工房には敷居が高くて入りにくいというイメージはあります。実際に松本弦楽器もマンションの8階にあり1階に看板がある訳でもなくマンションに入ってエレベーターを8階まで上がれば看板が出ているので工房があるんだと分かる位で、初めて来る方は迷う方が多いです。

最近、このホームページを見て工房に興味を持って下さって1回毛替えや、調整を出してみようというお客さんが増えてきていてお問い合わせの際に「何もわからないのですが・・・」「素人なのにお店に行っても良いのでしょうか?」という方がいらっしゃいますが、何もわからなくても良いんです、何も知らなくて当たり前ですし、素人だろうとプロだろうと関係無くしっかり対応させて頂きます。僕なんかはもっと何も知らなかったと思います。学生だった当時、個人工房にアポを取ることは勇気のいることだった僕からすればホームページを見ただけで1回行こうと思って電話をかけるその勇気、尊敬します、すごいと思います。しかもホームページもあまり楽器屋っぽくないし、そもそも楽器の写真がブログの記事以外で1枚も無いんですよね。怪しさ全開です。本当に楽器屋か?と思うかもしれません。

そんな工房に興味を持って足を運んで頂いて本当に有難うございます、中には楽器持ってこないでコーヒーだけ飲みに来る方もいますし、時間つぶしに来る方もいらっしゃいます。

この記事を見て下さっている方もそんな休日に本屋に立ち読みに行くみたいな気軽な感覚でお越しください、会社のスタンスは看板の通り「OPEN」ですので(^^)ではでは。

 

 

 

楽器の重さ

図この図は6月中に親方の製作した楽器の重さを測り出したのがきっかけで楽器の重さは湿度の変化によってどんなふうに変化するのか?という疑問の元に新作の楽器(A)、モダン(製作時期1920年代)の楽器(B)、製作から10年ほど経過した楽器(C)の3本の重さを毎日計測してその時の天気と湿度を合わせて計測したものです。

この図の湿度だけ見ると恐ろしいほどの湿度の変化、また高湿度ですが当店の楽器の保管の仕方として普段人間が生活するのと同じように楽器も保管するというのがモットーで無理な湿度管理はしておりません。楽器はショーケースにも入っていませんし、過度な除湿や加湿もしません、自然の気温と風、エアコンは使いますが人の生活空間と同じ様に管理していますので湿度だけ見るとすごいことになっていますがご了承ください。

平均的に楽器の重さは460g~480g位でパーツや材料の重さで前後する事はありますが大体この位です、図のVnAは飛びぬけて重たいですが、これは親方の製作した楽器です、理由は簡単で楽器の表板、裏板が厚いためです。パーツは軽いのに・・・ごついです。

それぞれの重さはあるとして、グラフを見ると一目瞭然なのですが、湿度が高くなると楽器の重さが比例して重くなっているのが分ると思います。逆に湿度が下がってくると重さも軽くなるのが分ります。しかも3本とも綺麗に同じように変動しています。

つまり楽器の材料、木が空気中の湿度を吸って重たくなったり乾燥して軽くなったりしているということですね、普通に考えれば当たり前だと考えると思いますが、実際計測して見てみるとこんなに顕著に表れるとは思いもしていなくてビックリしました。VnAは出来たては502gあり、それから計測を始めるまで日数があったのですが6月11日には512gまで増えています。10gも水分を吸っているということですね、そりゃあ湿度が増えると楽器の調子がおかしくなるよな~って妙に納得してしまいました(^_^;)

バイオリンですら10g前後は増えるのでチェロなんかはもっとすごいことになるのではないでしょうか?軽く50gくらい増えそうです・・・

この結果を受けて常に安定した湿度で質量も一定に管理した方が良いのではないか?と思うかもしれませんが、楽器の状態も人間の状態と同じように常に動いて変動しているものなんだなということを知って頂けたら嬉しいです。

人も湿度が高くなると気持ち悪いし体調も崩してしまう人もいます、それと同じ事ですね。

逆に急激な湿度変化の方が楽器にも人にも負担になりますね。

例えば、湿度がすごいからと言ってケースに乾燥剤を入れたりするとケースから出した途端に急に湿気たりもしますのでご注意ください。もちろんその逆もあると思います。

こんな風に毎日楽器の重さを計測したこともなく普通に仕事をしていましたが、やってみて初めて分かることもあり、とても面白い結果になったので勉強になりました。まだまだ分らないことだらけで面白いですね(^^)

井田

 

ご報告

ホームページを見て頂いている皆様、工房でお世話になっている皆様、篠原です。

いきなりになってしまいますが、5月いっぱいをもちまして僕は、松本弦楽器を辞めまして、地元の神戸に帰ります。

ホームページでの製作のアップは無かったのですが、ホームページを見て下さり、僕を知って頂きました皆様、工房でお世話になりました皆様、本当に有難うございました。

簡単な挨拶になりますが、以上でご報告とさせて頂きます。

それでは、皆様お元気で!!

篠原 敦