月別アーカイブ: 2014年12月

弦伸ばし器

お客さんからの依頼でチェロ用の弦伸ばし器を作ってと言われたので、作ってみました。

昔は弦メーカーでもあるピラストロ社でバイオリン用の弦伸ばし器は販売していたそうですが、今はもう生産中止で販売している所も無いので実物を見たことが無くどんなものなのか分らないまま作ってみました。

弦伸ばし器仕様用途は新品の弦の張り立ては中の芯線が伸びたりして音が騒ぐのでしばらくこの道具で弦を張って安定するまで弦を馴染ませるためのものです、大体1ヶ月くらいすると中の線が伸びるのでここから外して楽器に弦を取り付けます。昔は弦はガット弦が主流でしたのでこんな道具もあったと思うのですが、今はナイロンやスチールが主流なので無くなっていったんでしょうね。昔もチェロ用は無かったらしいですが…

弦を張って音を出してみるとエレキっぽい音がして面白かったです、これには駒のカーブなど付けて無いので引くのはちょっと難しいですがちゃんと音が出るのがすごいですね

出来てから、「ピラストロ 弦伸ばし器」でgoogle先生で調べてみたら、カッコいい弦伸ばし器が出てきました。

最初に見とけば良かったとちょっと後悔したのは言うまでもありません(-_-;)

 

弓の話 5

これまで長々と弓の話を書いてきましたが、今回で最後です。

今回は二つの弓の特徴、音の感じ等の違いについてです。ただこれは目で見て確認できるものではないので僕の意見と感覚的な言葉が多くなりますので伝わりにくい点も多々あると思いますがご理解頂けたらと思っています。

2つの弓の基本的な成り立ちが大きく違うことで音に大きな影響があります、なかったら可笑しいですよね。まず持った感じ、曲げ弓はバネのような弾力のある棒を持っている感じです。削り弓は木の枝を持っている感じです。同じ重さの弓でも2つを比べると曲げ弓の方が重たく感じ、削り弓の方が軽く感じられます。

自分で確認するのに解りやすいのは弓のフロッグ部分を持って(普段弾くように持ちやすい所で構いません)ヘッド部分を下に下げた状態から力を抜いた状態でスッとヘッドを持ち上げてみて下さい。そうすると弓の持っている弾力や反応の速さバランスなどが分ります。何となくこんな感じかなぁ~っと思えたらOKです。同じタイプの弓を比べてもそんなに差はありませんが、この曲げ、削りを比べたら一目瞭然だと思います。

では実際に弾いてみてどう違うのか、二つの弓の一番の違いは倍音の成分の違いだと思います。曲げ弓よりも削り弓の方が高い倍音の成分が多いと思います。音の感じで言うと曲げ弓の音は柔らかくウェットな感じの音、削り弓は曲げ弓に比べると硬めでシャープな感じだと思います。

では何故倍音の成分が違うのか、これは弓自体の反応の速さに関係していると思います。削り弓の方が曲げ弓よりも反応が速く、音の立ち上がりが早いので倍音が多いのだと思います。曲げ弓の方が削りに比べると反応の速さが落ちるので倍音の成分も少ないのだと思います。

反応が速い弓は楽器の状態によっては弓がすごく滑る感じがして毛の引っ掛かりが足らない感じがすると思います。では毛の量が足らないから滑るのかと思って、毛替えをして多く毛を入れて粘りの強い松脂を塗れば良くなるんじゃないかと思うかもしれませんが実は違います。これはまず弓うんぬんよりも楽器の状態を何とかしましょう、毛を沢山入れればそれだけ弓の重さも増えて毛と弦の接点も増えて弓が鈍い状態になるだけです、これは曲げ弓、削り弓関係なく弓のセッティングの話ですが…

話が脱線してしまいました(-_-;)

音の立ち上がり、倍音の成分の違いでかなり音の響きも違って前に書いたような柔らかい感じ、硬い感じ、太い感じ、細い感じ、感じ方は人それぞれ違うと思いますし、例えば曲げ弓を二人のプレイヤーが弾いたとき一人は柔らかいと言い一人は硬いと言い、削り弓はそれぞれまた逆に感じることもあると思いますが比べてみると対極に感じられると思います。

好みもあるしこっちの方が良い音だ!!なんて断言できませんがどちらが好きですか?僕は削り弓の反応の速さや持った感じが好きです、削り弓は八角形が多いので見た目もシャープで格好いいと思ってます。

ただ今巷には曲げ弓が殆どですので、気軽に比べようがないのが残念ですが、今当社で扱っているオリジナルの弓は削り弓です、名古屋の杉藤楽弓社さんにお願いして木を最初に削り出すところから削り弓の作り方そのままで作ってもらっています。

また杉藤さんにてお取扱いしているセンシティブシリーズも削り弓で1本ずつハンドメイドで作られています。 当社はオリジナル弓の値段は1つだけですが杉藤楽弓社さんではランク分けされた値段帯で販売されています、もちろん曲げ弓の販売もしておりますが、削り弓を個人でなく会社として販売しているのはおそらく世界中でここだけじゃないでしょうか。

最後に営業みたいになってしまいました…僕は杉藤さんの回し者じゃないですよ(-_-;)

ほとんどの方が曲げ弓しか知らない状態で削り弓って反応早くて良いですよ~とか言うつもりはありませんが、こんな弓もあるんだな~へぇ~位に思って頂けたらこれまで書いて来た甲斐があります。

長々と1年弱に(なってしまった)渡って書いて来た弓の話ですが、弓は楽器のおまけなんかじゃなく1つの立派な演奏する道具であり、その中にはいろんな使い勝手を求めて進化、発展してきた歴史があるということを知ってもらいたかったのでこれまで書いてきました。これを読んで下さった方々が自分の道具を選ぶとき何もわからずに値段だけ見て買うのではなく、実際に手に取ってその弓を弾いてみて、感じて欲しいです。持った感触はそのまま音になります。自分が気に入ってこれが良いと思えたらそれが良いと思います。こう書くと今までの材の話や歴史や弓の特性は何だったんだ?って思うかもしれませんが、そういうことは知識として知ったうえで自分の素直な感覚が1番大切だと思います。それは弓に限らず楽器もそう、同じです。

楽器は音を出す道具です、自分の演奏と言う運動を音に変換して、ちゃんと気持ちをダイレクトに変換する楽器が良い道具です。。こうなると以前に書いた初心に還っての中に書いた内容になりますので割愛。

と言うことで、弓の話はお終いです。ここまで読んで下さった方本当に長々と有難うございました。たまに更新さぼっていると激励のお言葉を頂いては書いて、さぼっては書いての繰り返しでこんなに時間が掛かってしまったこと反省しています。

また来年には何か違う話でもしようかな~とか考えているのでもし興味があっても期待せずに気長にお待ちください、もしくはネタください!!ネタの提供いつでもお待ちしてます!

ではでは、有難うございましたm(__)m