月別アーカイブ: 2015年3月

看板

open今日はいつものFittingの話を少し中断して、全然関係のない話をしようと思います。

元々僕はアマオケなどで楽器を弾いていたわけでも、専門的に演奏を習っていたわけでもなく昔少しバイオリンを習っていた程度で自分で楽器屋さんに行って楽器の調整はもちろん毛替えをお願いしたこともありませんでした。と言うかそういったことをするものだと思っていませんでした。たぶん先生にお願いしていたのかもしれませんが記憶がありません(^_^;)

そして何の気まぐれか分りませんが専門学校で楽器作りを学ぼうと思いESPに入学して初めて「楽器ってメンテナンスとか毛替えっていうものをするか!!今までしたことないぞ!!」と、焦ったわけです。弦が切れたら新しいものに交換するくらいはしてたと思いますが・・・弦の種類や芯線の違いまで理解して交換してませんでした。同級生にはアマオケで弾いている人や知識豊富な人もいて楽器屋の話や弦の話、松脂は何を使っているだとか色々話していて、何の話をしているのかさっぱり分らなかったのを覚えています。

楽器屋さんと言うものに行ったことが無いわけではないですが、ヤマハや山野楽器位しか知りませんでした。クロサワ楽器も知りませんでした、同級生には知らなさ過ぎだろと言われましたが、みんながどこからそういった情報を仕入れてくるのか不思議でした。今思えばオケのメンバーや雑誌などでしょうね、とにかく物知りなのが何人かいました。

そんな感じで学校生活を送っていたわけですが、ある日せっかくバイオリン作ってんだから専門の楽器屋に行かなくてどうする!と思い立ち、学校のある高田馬場のお隣の駅、新大久保でクロサワ楽器と言うものがあるという情報の元、足を運んでみようと新大久保の駅に降り立ちました。これまで専門の楽器屋さんに縁が無く言ったこともなかった自分にとってはクロサワ楽器もドキドキでちょっと緊張していました。

いざ、入店すると店員さんが寄ってきて「楽器をお探しですか?良ければ弓もお出ししますよ?」

やばい・・・軽く店内を見られる雰囲気じゃない・・・しかも楽器が全部ガラス棚の向こう側じゃないか・・・僕にはレベルが高すぎる・・・チキンな若かりし井田は完全に楽器屋さんオーラに飲み込まれました。

それでも何度か行くうちに慣れてきて普通に、ただ見に行くだけでもできるようになりました。レベルアップです。

そして、さらなるレベルアップを目指し都内楽器工房巡りを同級生と一緒に敢行しました。調べてみると知らなかっただけで沢山の工房がありましたが、大体どの工房もマンションやビルの一室で1階に店舗のあるお店の方が珍しいことも解りました。

お店の中が見えない。1階ではないマンションの一室。この時点でハードルはグーンと上がります。が、挫けずに連絡してみます。「専門学校の学生なのですが、工房の見学してもいいですか?」

「見学とかやってないので」 「一見さんお断りなので」 心が折れそうです。

ですが何軒かのお店では了承していただけたので店内を見させて頂けることになりましたが、お店に向かう道中はかなり緊張しました。そしてお店の中へ入ると大体のお店が少し薄明りの照明で、イギリス製のアンティーク家具があり、その家具の中にこれまた高そうな楽器たちが展示してあります。これはもはや素人が易々と足を踏み入れていい場所ではないと当時の僕は思いました。そんな所で楽器見させて下さいなんて恐れ多い言葉は出てこずにチキンな僕たちは工房を後にしました。

おそらく、どのお店もそんなことはなく僕のチキンハートのせいなんだと思いますが、往往にして個人工房には敷居が高くて入りにくいというイメージはあります。実際に松本弦楽器もマンションの8階にあり1階に看板がある訳でもなくマンションに入ってエレベーターを8階まで上がれば看板が出ているので工房があるんだと分かる位で、初めて来る方は迷う方が多いです。

最近、このホームページを見て工房に興味を持って下さって1回毛替えや、調整を出してみようというお客さんが増えてきていてお問い合わせの際に「何もわからないのですが・・・」「素人なのにお店に行っても良いのでしょうか?」という方がいらっしゃいますが、何もわからなくても良いんです、何も知らなくて当たり前ですし、素人だろうとプロだろうと関係無くしっかり対応させて頂きます。僕なんかはもっと何も知らなかったと思います。学生だった当時、個人工房にアポを取ることは勇気のいることだった僕からすればホームページを見ただけで1回行こうと思って電話をかけるその勇気、尊敬します、すごいと思います。しかもホームページもあまり楽器屋っぽくないし、そもそも楽器の写真がブログの記事以外で1枚も無いんですよね。怪しさ全開です。本当に楽器屋か?と思うかもしれません。

そんな工房に興味を持って足を運んで頂いて本当に有難うございます、中には楽器持ってこないでコーヒーだけ飲みに来る方もいますし、時間つぶしに来る方もいらっしゃいます。

この記事を見て下さっている方もそんな休日に本屋に立ち読みに行くみたいな気軽な感覚でお越しください、会社のスタンスは看板の通り「OPEN」ですので(^^)ではでは。