月別アーカイブ: 2015年8月

Fittingの話3

前回アジャスターのお話をしてから早半年、親方にもお前最近更新さぼってんな~と言われ、お客さんにも最近更新止まってますね~と言われ、あーやんなきゃなーとか思って時間だけが過ぎていった結果です。もし、こんな記事でも楽しみにしてくださっている方がいて待っていてくださったのであれば本当に申し訳ありませんでしたm(__)mやっと書きました!!ホームページはまだ閉鎖してません生きていますよ!

というわけで今回は顎当てのお話です。

今は普通に目にする顎当てですが昔のバロック楽器の時代には顎当てはありませんでした。元々のバイオリン属は顎と肩でがっちり挟んで弾くものではなくて腕の付け根あたりに軽く押しつけて引っ掛けるようにして弾いていました。

それから徐々に元々ハイポジションまで使わなかったバイオリン属でハイポジションまで使うことになり速いパッセージ等も弾くことになり弾きやすさを求めて楽器を固定するのに便利なように顎当てや肩当が誕生したのではないかと思います。少なくとも、パガニーニの生きていた時代には顎当てを付けるのは主流ではなかったと思います。

パガニーニは写真は残っていませんが絵が数点ありどれも顎当ても肩当ても付けていません。興味のある方はパガニーニで画像検索してみてください。

そうして、顎を固定したほうが弾くの楽だし、安定もするじゃないか!しかも汗をかいたりしても楽器に汗がつきニスをダメにすることもない、ニスも服に付かない、と多分このような理由から普及していった顎当ては片側に付けるタイプが始まりで今ではオーバーテールピース型というテールピースを跨ぐように固定するタイプのものが主流になりました。このオーバーテールピース型は楽器に対し下ブロックのある位置から左右で固定する様になっていて片側タイプのものより左右均等に圧が加わるのでバランスが良い、またテールピースに顎が触れにくいためにテールピースに触れることによって弦の振動を止めてしまうこともないと言われています。

確かに片側だけに重さがあるより左右にあるほうがバランスは良いしテールピースも触れないほうが振動を止めないので良いと思います。…が、実際に使用している方の顎当てを見るとテールピースに顎が思いっきり当たってますし、振動はブロックの左右から固定しているタイプのほうが止まっています。何より重いです。あと、無駄に大きいと思います。弾いているときに顎の乗る位置というのはそんなに大きな面積ではないのに何故あんなに大きいのか不思議です。特にビオラ用の顎当てに関しては楽器は大きいですが弾いている人間はバイオリン対ビオラほど人間が大きい訳でもないし、ビオラを引く人が特別顎が大きいわけでもないのでビオラ用としてわざわざ大きなものを付ける必要はないと思います。(もちろん体格差や骨格の違いなどは関係してくると思いますが)

文句ばかり言っていますが、オーバーテールピース型の営業妨害したいわけではなく片側タイプのものでも同じことです。そんなに大きさ必要ですか?もっと楽に楽器を構えてみませんか?というわけでこちらです。IMG_0897 rest

 

これは楽器に付随するパーツ(顎当て、肩当て、エンドピンなど)の無駄を減らしてくると楽器そのものの本質が出てくる。じゃあ無駄な部分はなんだ?という所から始まり顎当てを見ていたら触れている部分というのは実はそんなに無くて外側の部分は殆ど触れてない、じゃあそこはいらない。

金具も軽いので良いや、普通2本だけど1本でも押さえられるんじゃないか?じゃあ1本にしてもその位置は真ん中に近いほうがいいのか外側なのか…なんてことをやっていたらこうなりました。

顎の乗っている部分は人により違いますが大体の方が真ん中テールピースの脇あたり、それより外側にはあまり触れていません。バイオリン、ビオラを弾いている方がいれば実際にご自身の楽器を見てもらえれば分かりますが、汗などが染みて変色していれば尚わかりやすいです。

形は人それぞれ顎の高さや形も違うのでこの形だけではありませんが、1本脚の効力はなかなかびっくりしました。穴の位置は顎当ての中心より少し外寄りが良かったです。これはチェロに修理用のクランプを挟んで位置をずらしながら実験していたのですが、テールピースに近いところはブロックがあるので振動を止めてしまうのでよくないだろうと思い段々外側にずらしていったら外過ぎるとまた真ん中に近いところで止めていた時と似た感じがしてきてとてもびっくりしました。おそらく力学的にはちゃんと理由があるとは思いますが、そこまでしてません(;´・ω・)

この形にするとまず楽器をがつっと固定しにくくなります、逆に楽器が肩と顎の間で割と自由に動かせるようになります。これを悪いとするか、良いとするかは個人の自由です。固定したい人は窪みの深い形の顎当てで肩にあった肩当てをすれば良いと思いますが、逆に自由に動かしたかった人向けのものというのはあまりありませんでした、新しく出てくる商品も楽器を固定する方向のものがほとんどですし。そして何より見た目の小ささ通り軽い、楽器本体にかかる負担は大分減りました。金具の足もチタン製で軽量です、こんな話は前回のアジャスターの話でもしていたかもしれません。

脚を1本にすると物理的な話で質量は当然軽くなり、また押さえる個所も1か所で振動を止めるポイントも減ります、すると楽器にに対しての無駄な部分が減り楽器本来のパワーが出てくるということです。

つまり、常に引き算をしているということです。普通アジャスターや顎当ての売り文句としては「これを付ければ楽器が良い音になりますよ~」だと思いますが、ここで言いたいのは「無駄を無くしてくると楽器の本来の音が鳴ってきますよ~」です。全然真逆のことをやっているわけですね。人で言えば化粧をどんどんするのか、どんどん化粧を落としてすっぴんになるのかといったところでしょうか?

 

 

…あれ?いつも同じことしか話していませんね(;^ω^)

 

 

 

普通の顎当てを2本脚から1本脚にするだけでも大分変るので顎をフリーにするのは少し抵抗ある人にも優しいtune-upです。

顎当ての話でした。

次回はエンドピンの話です。エンドピンと言ってもチェロの話ですが、これまた見慣れないものが出てくると思いますのでお楽しみに(*‘∀‘)