月別アーカイブ: 2019年5月

楽器屋さんでライヴ!! vol.23

5月25日にバイオリン、喜多直毅さんと箏、元井美智子さんよるduoライヴが開催されました。

このお二人のライブもお馴染みです。

2部構成で1部が即興演奏、休憩をはさみ2部がアレンジ曲という構成でした。今回の元井さんの演奏された箏は150年ほど前に製作されたもので今とは若干作りが違うそうで少し楽器を眺めさせていただけたので観察してみたら本体の形が普通のアーチ状とは違うカーブをしていてまるで日本刀のカーブのようでその頂点に合わせて隆起もできていて絃の掛かり方も三次元的に掛けられていました。びっくりしました、最近このブログ内でsettingのお話というものを書き出していてその内容そのままの様な作りをしていたからです。

音もこれまでの箏の音の出方、立ち上がりとはやはり違う感じで音の立体感や中心感みたいなものを感じる音でした。

残念ながら今ではこの作り方で箏を作ることができる職人さんがいないそうで絃の張り方もゆるく張らないといけないそうですが、この形とその張力の弱さが長年かたちを保つ秘訣なのかもしれません。

今書いているsettingのお話の事を思いつつやっぱり弦楽器は構造的にこうだよねと納得した演奏会でした。

settingのお話 2

今回は楽器の本体に弦が掛かった際のボディの力の掛かり方についてです。

上の図は弦が掛かってネックが起き上がろうとする力とテールピース側からも縦方向に引っ張られる力で表板は縦方向に縮まろうとするので表板の頂点は上向きに持ち上がろうとしています、裏板はネックが上向きに起き上がるのに引っ張られるのと表板の縮む向きに合わせて下ブロックで固定されているので表板が縮まる力になるなら裏板は伸びる力になり、縦方向には伸びようとするので裏板の頂点は下向きに力がかかります。 下の図は表板に縦方向で力がかかった場合のエッジに掛かる力の向きを表しています。

実際には表板には駒があるために矢印の向きと逆向きの力、表板を押すによって下方向にも力がかかるので縮む力と反対の伸びる力も加わりますし、駒が表板を押すと中にある魂柱が裏板を裏板側で矢印方向と逆に押すので裏板も頂点から上向きにも力が加わりネックを持ち上げる力と逆のネックを下げようとする力が加わります。

つまり、うまくバランスがとれた状態にあるとこの矢印がすべて相殺されることになります。ここでいうバランスの取れている状態とは楽器の強度と弦の張力の力のバランスです。楽器がしっかりした強度とアーチをしていて弦の張力がその楽器の強度の許容範囲内であれば矢印のバランスはとれますが、例えば弦の張力が楽器にとって強すぎる場合図に書いてある矢印のバランスが崩れて楽器本体を壊す方向に力が働くと表板に割れが入ったり指板が上がったり、下がったりする現象が起こります、つまり楽器と弦のバランスが取れていて、settingのお話1で書かれているように上下と左右のバランスが取れていれば楽器は壊れないという事です。

元々バイオリン属はシェル構造で壊れにくい構造であるのだからバイオリン属は長持ちして現在まで300年も持つ楽器になっているのです。さらに材料の木材は伐採後500年後に1番強度が出るともいわれているので、製作されて10年で壊れたりバスバー側が落ちたりという状態になる楽器などは基本的に構造上問題があるか強度がないペラペラの楽器ということになります。弦の張力がその楽器にとって強すぎたり左右のバランスが狂っていたりしても同様に楽器を壊す働きになるので一概には言えませんが。

バランスが整ってきて運動効率が良くなると楽器も響くようになります、鳴り方としては自分の傍では静かで音が遠くに飛んでいく、所謂「遠鳴り」になります。その逆にバランスが狂って運動効率が悪くなると自分の傍でばっかり鳴って遠くに音が届かない「傍鳴り」状態になります。

弦の張力などは各弦メーカーが張力表を出しているので、どういう状態を前提にして割り出しているかはメーカーごとに違うと思いますが気になる方は参考に見てみてもいいかもしれません。

そして忘れてはいけないのが弦メーカーは一応自分のブランドの同じ種類の弦を4本張ってバランスが取れるように設計しているという事です。←これ1番大事です。