バスバーと魂柱 その1

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今回は、ずっと書こうと思っていて書かずにいた(構想を練っていたわけではありません、ただのサボりです)、そして今まで知らなかったのか!と怒られてしまいしまいそうなことを書いていこうと思います。

バイオリン属にはバスバー、魂柱というものが必ずありますが、今回はそのバスバーと魂柱に関するお話です。

まずはバスバー。表板の裏側に接着されているもので英語ではBass Bar低音域側にある棒という感じでしょうか、日本語では力木(ちからぎ、りきぼく)梁の様な意味合いです。そしてイタリア語ではcatena(カテナ) 鎖、ラテン語でも同じくcatena(カテナ) 連結、連鎖という意味です。

この意味合いだけ考えるとこの3つは全然別の意味に考察できます。

「Bass Bar」の場合 低音域側にある棒、表板を支えるために、また弦を弾いたときに駒から伝わる振動を表板全体に伝えるために付随するものというのがBass Barの一般的な説明です。

「力木」の場合 梁などの意味でほかの部位を補強するための木材。力木は英語にするとbracingと言ってギターなどの表板、裏板などに接着されているものになりバイオリン属の裏板に接着されているものとは意味が違ってくる気がします。

「catena」 の場合 まず最初に「鎖」と出ます、つまり支えるとか張りを出すとかそういった意味合いは無いところが面白いです、また「連結、連なる」と言った意味合いも含まれています。

つまり、イタリア語、ラテン語の解釈だと単に連なったもの繋がったものと考えられます。そもそも最初はバスバーというものは無くて表板の低音域側は高音域側に比べて厚みが厚く作られていたものが徐々に今のような形に膨らんできて出来たとも言われています。catena di montagneという言葉で「山脈」なので単に山の様な形をしたものという意味なのかもしれません。そう考えるとcatena≠表板に付随するパーツで、catena=表板から派生した表板の一部になると思います。 

一般的にバイオリン属の修理などをしていてバスバー側のさがってしまった楽器を元のアーチに戻すときなどはバスバーを新しものに張り替えたり、石膏型を取ってプレスアップしたり(これはバスバー張り替えも含みます)しますが、実はオリジナルバスバーだった場合はバスバーを張り替えたりしなくても材の持つ弾力さえキチンとしていて表板が削られたりしていなければセッティングさえきちんとすれば使っている間に元に戻ってきます。逆に新しいバスバーに張り替え、張りをかけて接着したところでセッティングがしっかりしていなければまた下がってきます。 張りをかける膨らめるというのは一時的なものでトータルバランスではあまり意味がありません、そもそも前述を踏まえると表板の一部であるcatenaはパーツではありません。もしオリジナルのものがついていたら削るなんて言語道断です。

バランスさえ整えてあげれば時間はかかりますが膨らみは戻ってきます。そういう意味では「連なったもの、繋がったもの」これが1番しっくりくるように思います。

本場のイタリアで勉強された職人の方々、または勉強して知識としてある方はバスバーと言わずにカテナと言うでしょうし、言わなくともその意味も知っていると思いますが、自分の勉強不足でこれまでバスバー(力木)=張りをかけるものと言う名しか知らなかった自分が恥ずかしいですね。イタリアが本家なのに…。つい癖でバスバーと言っていますがこれからは「catena」のつもりで「バスバー」と言おうと思います。

今回はバスバーに関してでした、バスバーの寸法や付ける位置などはいろんな風に言われていますが名前に関して考えてみるのも楽しいですね。という訳で魂柱は次回、間をあけずに書きたいと思いますので頑張ります。