楽器屋さんでライヴ!! vol.23

5月25日にバイオリン、喜多直毅さんと箏、元井美智子さんよるduoライヴが開催されました。

このお二人のライブもお馴染みです。

2部構成で1部が即興演奏、休憩をはさみ2部がアレンジ曲という構成でした。今回の元井さんの演奏された箏は150年ほど前に製作されたもので今とは若干作りが違うそうで少し楽器を眺めさせていただけたので観察してみたら本体の形が普通のアーチ状とは違うカーブをしていてまるで日本刀のカーブのようでその頂点に合わせて隆起もできていて絃の掛かり方も三次元的に掛けられていました。びっくりしました、最近このブログ内でsettingのお話というものを書き出していてその内容そのままの様な作りをしていたからです。

音もこれまでの箏の音の出方、立ち上がりとはやはり違う感じで音の立体感や中心感みたいなものを感じる音でした。

残念ながら今ではこの作り方で箏を作ることができる職人さんがいないそうで絃の張り方もゆるく張らないといけないそうですが、この形とその張力の弱さが長年かたちを保つ秘訣なのかもしれません。

今書いているsettingのお話の事を思いつつやっぱり弦楽器は構造的にこうだよねと納得した演奏会でした。

settingのお話 2

今回は楽器の本体に弦が掛かった際のボディの力の掛かり方についてです。

上の図は弦が掛かってネックが起き上がろうとする力とテールピース側からも縦方向に引っ張られる力で表板は縦方向に縮まろうとするので表板の頂点は上向きに持ち上がろうとしています、裏板はネックが上向きに起き上がるのに引っ張られるのと表板の縮む向きに合わせて下ブロックで固定されているので表板が縮まる力になるなら裏板は伸びる力になり、縦方向には伸びようとするので裏板の頂点は下向きに力がかかります。 下の図は表板に縦方向で力がかかった場合のエッジに掛かる力の向きを表しています。

実際には表板には駒があるために矢印の向きと逆向きの力、表板を押すによって下方向にも力がかかるので縮む力と反対の伸びる力も加わりますし、駒が表板を押すと中にある魂柱が裏板を裏板側で矢印方向と逆に押すので裏板も頂点から上向きにも力が加わりネックを持ち上げる力と逆のネックを下げようとする力が加わります。

つまり、うまくバランスがとれた状態にあるとこの矢印がすべて相殺されることになります。ここでいうバランスの取れている状態とは楽器の強度と弦の張力の力のバランスです。楽器がしっかりした強度とアーチをしていて弦の張力がその楽器の強度の許容範囲内であれば矢印のバランスはとれますが、例えば弦の張力が楽器にとって強すぎる場合図に書いてある矢印のバランスが崩れて楽器本体を壊す方向に力が働くと表板に割れが入ったり指板が上がったり、下がったりする現象が起こります、つまり楽器と弦のバランスが取れていて、settingのお話1で書かれているように上下と左右のバランスが取れていれば楽器は壊れないという事です。

元々バイオリン属はシェル構造で壊れにくい構造であるのだからバイオリン属は長持ちして現在まで300年も持つ楽器になっているのです。さらに材料の木材は伐採後500年後に1番強度が出るともいわれているので、製作されて10年で壊れたりバスバー側が落ちたりという状態になる楽器などは基本的に構造上問題があるか強度がないペラペラの楽器ということになります。弦の張力がその楽器にとって強すぎたり左右のバランスが狂っていたりしても同様に楽器を壊す働きになるので一概には言えませんが。

バランスが整ってきて運動効率が良くなると楽器も響くようになります、鳴り方としては自分の傍では静かで音が遠くに飛んでいく、所謂「遠鳴り」になります。その逆にバランスが狂って運動効率が悪くなると自分の傍でばっかり鳴って遠くに音が届かない「傍鳴り」状態になります。

弦の張力などは各弦メーカーが張力表を出しているので、どういう状態を前提にして割り出しているかはメーカーごとに違うと思いますが気になる方は参考に見てみてもいいかもしれません。

そして忘れてはいけないのが弦メーカーは一応自分のブランドの同じ種類の弦を4本張ってバランスが取れるように設計しているという事です。←これ1番大事です。

ゴールデンウィーク中のお知らせ

ゴールデンウィーク中のお休みのお知らせです。

4月28日(日)、4月29日(月)、5月3日(金)~5月6日(月)はお休みさせていただきます。

4月30日(火)、5月1日(水)、5月2日(木)は通常通り営業いたします。

なおメールのお問い合わせやネットショッピングでの対応はゴールデンウィーク明けになるかもしれませんのでご了承ください。

よろしくお願いいたします。

settingのお話 1

楽器に対する力のイメージについて

上の図は楽器に対する弦の掛かり方とそれに付随する力のバランスについて書いてあります。

平面図で書いてありますが、実際は立体なので円錐形をイメージしていただくと分かりやすいです。上の図の小さい菱形の部分は横から見た弦の掛かる部分(上ナットから駒を通ってテールピースまでの弦の掛かり方。楽器の中心を通って裏板側にも力のバランスがかかっていることを表しています。)大きい菱形の部分は下の図の楽器を正面から見た際の糸幅の収束してまとまっていく点を表しています。

この図が表しているものはバイオリン属は力のバランスが1点でまとまる(弦の中心感と楽器の中心感が1点でまとまる)様にできていること、平面図では分かりにくいかもしれませんが、この左右の円錐の垂線は楽器の中心で交わることを表しています。

このまとまる点(左右の線がまとまっている点)がずれて曲がって掛かっていたり、捩れてかかっていたりたりすると楽器と弦の中心感がずれてバランスが崩れていくという風になります。

どちらもまっすぐかかっていれば1番バランスが取れているということになります、じゃあ曲がっていたり捩れたままだとどうなるかと言うと、表板の魂柱側が下がったり、バスバー側が下がったり楽器自体がねじれてきたり、表板が割れたり…原因はこれだけで無く次回からお話しすることとも全部絡みますが楽器自身が弦の張力で自分を壊す方向に力を掛けていくという風になります。

バイオリン属はシェル構造なのでバランスが取れてさえいればプラスマイナス0になるように設計されているはずです。つまり壊れない設計になっています。もちろん元々の楽器の設計や強度など個体差ありますが基本的にはそういう風になっていると思ってください。なので、なぜか自分の楽器のバスバーが下がってくるのでオーバーホールでバスバーを交換してもまた下がってくる状況や、g線だけ鳴らないとかe線だけいつもひっくりかえるから弦を変えてみた、でも直らない。など原因はバスバーや弦の問題ではなくネックの問題に付随するバランスの問題が占めている割合の方が大きいということを知ってもらいたいです。

むしろちゃんとセットすれば表板のバスバー側が落ちていたのがバスバー交換しなくても使っているうちに元に戻ってくることもあります、これはオリジナルバスバーでの話ですが。

楽器のバランス次第で壊す力にも直す力にもなる。 魂柱をコンコン叩いて音が変わるのは当たり前です、駒も削ったり立て替えれば音が変わるなんてバランスが変わるのだから当たり前です。どこをどう変えたらその楽器にとってバランスが良くなるか考えてアプローチすることが大事だと思います。とりあえず弦変えるとか駒変えるというのは何の調整でも修理でも何でもないということを分かっていただきたいです。と、喧嘩を吹っかけるのはここら辺にして(-_-;) 

今回は楽器の中心感と弦の中心感をそろえること、それらは1つの点で交わることについでした。

次回は楽器の表板裏板に掛かる力についてです。

settingのお話 序章

何回か前のblogの中で松本弦楽器「3枚のコピー用紙」なるものについて少しだけお話をしましたが、今回はこの話を書いていこうと思います。

自分の頭の整理と松本弦楽器ってこんな風に楽器を見ているんですよ、という説明のために書いていきますので分かりにくかったり、ぐちゃぐちゃな文章になるかもしれませんがなるべく分かりやすく書こうと思いますのでよろしくお願いいたします。

もう6年前になりますが「初心に還って」というものとも絡んでくるので自分でも1度読み返してみたのですが、まぁ~分かりにくい(;^_^A 分かったのは看板のopenの由来くらいでしょうか。

あれから6年…分かりやすく、読みやすいものが書けるか自分にプレッシャーを掛けながら少しづつ書いていきたいと思います。これから書いていく順番ですが優劣はなく1番最初に書いたから1番大事とかではありません。どれも大事です。

では次回から始まります。

ちっちゃい松脂

facebookにはすでにアップしていますが、僕が前々から冗談で密かに作っていてご希望の方に差し上げていた小さいアニマル松脂を堂々と販売することとなりました。

kidsサイズの松脂よりも一回り小さくなっていますが、内容はこれまでの松脂と変わらないクオリティーです。

種類が4種類あるのでまだ通販には反映しておりませんが、ご要望が多ければそのうちラインナップに加えようかと思っています。現在は工房での販売と子供用初心者セットを購入してくださった方の松脂として4種のうちどれか1つがおまけになって付いてきます。

よろしくお願いします。

お知らせ

ここ数日間ホームページにアクセスするとデータベース接続確立エラーと出ていましたが、問題は解決いたしました。

ご迷惑をおかけしました。

井田

楽器屋さんでライブ!! vol.22

3月15日にバイオリン喜多直毅さん、チェロ五十嵐あさかさんのお二人で工房ライブが開催されました。お二人の共演は工房では初でした。

曲目はお二人のオリジナルやクラシックのアレンジなど二人のduoから始まり喜多さんのバイオリンソロと五十嵐さんの弾き語りもあり素晴らしかったです。

いつも喜多さんはこの工房でのライブでは実験的に色々なことを試す場としているようで、今回のバイオリンソロは何度も工房でも共演しているコントラバスの西嶋徹さんと収録した中にも入っているそうで、毎回ニュアンスが違く僕もライブで聞いたことがあるのですが、今回のアレンジはとてもシンプルでオリジナルの曲がスッと染み入るようで素晴らしかったです。五十嵐さんのソロではオリジナル曲の弾き語りで五十嵐さんの歌の素晴らしさ!とてもメロディアスで素直で演奏家はやはり歌もうまいんだな~なんて変なところを感心してしまいました、音のイメージを楽器に乗せて演奏しているのだから当たり前と言えばそうなのでしょうけど(;^_^A

今回はお二人は初でしたのでまた機会があればお二人でのduoも聞いてみたいです、そして!

3月23日には箏の元井さんと喜多さんのライブが開催されます。お二人は即興演奏です。今回の演奏はどんな発見があるのかとても楽しみです。

楽器屋さんでライブ!vol.21

1月26日に工房で第21回目のライブが行われました、今回はバイオリン奏者 喜多直毅さんと箏奏者 元井美智子さんのお二人の即興演奏でした。

このお二人の工房でのライブは3回目,今回も素晴らしい演奏を聴かせていただきました。

喜多さんのバイオリンの音はガット弦を張っていることもあって、かなり擦過音がするのですが、箏は和楽器ということもありノイジーな音がバイオリンの比ではないくらい響いていてかなりエッジの効いた音で素晴らしかったと思います。曲は前半、後半とに分かれ前半では箏の柱が落ちてしまうアクシデント(?)があっても全然かまわずに演奏が続き柱の無い箏の演奏もまた面白く即興とは思えないほどでした。

和楽器の実音以外の倍音の成分の多さは西洋の楽器とは断然違うものなんだなぁと改めて実感しました、それでも残念なことに箏の弦も今はバイオリン業界と同じように張力の強い弦を張り倍音が減る方向に行っているらしく元井さんはそういった音が嫌で張力の弱い弦を選んで張っているそうです。張力が弱く倍音が沢山出る状態だと音のボキャブラリーが増えるので演奏も楽しいと思うのですが、弦が柔らかくなるので少し圧を掛けると弦の振幅が止まり響きが出なくなるので演奏は難しくなります。最近の張力の強い弦などは弾くのは簡単ですが音の響きが少なくつまらない音になっていってしまっているのがとても残念です。

最近の弦楽器の新しい弦などは同じく張力がどんどん強くなって音の響きがなく金やタングステンなど重たい素材を使って楽器に負担になることばかりしています、今出ている音が楽器本来の音なのかストレスがかかって出ている歪の音なのかきちんと整理するために今年は再び初心に還って松本弦楽器の俗にいう「3枚のコピー用紙」なるものについて不定期に書いていきたいと思います。

人に伝えるためというよりは自分の頭の整理の為ですが、良ければお付き合いください。久々の長文シリーズ始まります、よろしくお願いしますm(__)m