弓の話 3‐1

これまで弓の歴史や材料についてお話してきましたが、ここまでは文献や資料を見れば分ります。

今回のお話は弓のタイプのお話ですが、これは証拠があってこのお話をするのではなく、仕事の中で色んな弓に触れてこの弓はこうなんじゃないか?という考えのもとのお話なので一つの意見、考えだと分って頂けると嬉しいです。

タイプと言ってもご存じの方もいらっしゃると思いますが俗にいうサルトリータイプ、ペカットタイプ等ではなく、もっと根本の弓の木取りのお話です。

木取り手書きの絵で汚いですが上の図の違いはお分かりになるでしょうか、材料のペルナンブーコを弓を作るためにカットします(木取りと言います)が①は木をまっすぐに木取っています、材料の無駄がなく1つの材でたくさんの弓が作れます。①´は最初から弓の反りに沿って木取っています。材料に無駄な部分が出てしまいますね。本数も多くは取れません。

ここが1番違い、決定的に弓の性能の差が出る部分であり弓作りにはこの2タイプあったと考えられます。これの中間のような弓もありますが…

ではこの2タイプどのような違いがあるのか、自分たちが弓を扱っていて感じたこと、思ったことをお話ししていこうと思います。

このお話をするにあたって、まずは弓の作りかたを簡単に説明させて頂きます。

これから説明する作り方も本当にそうか?と言われると、そう思うとしか言いようがないのですが便宜上これで行きます。便宜って便利な言葉ですね(^_^;)

ひとまず弓の話3-2から弓の作り方を始めます。タイプの違いについてより分りやすくなると思いますのでちょっと脱線します。そんなの良いから早くしろと思うかもしれませんが、ごめんなさい引っ張ります<(_ _)>

では次回、弓の作り方です。

井田

 

 

弓の話 2

今回は「弓の話1」でお話しした楽弓のストラドと呼ばれる、フランソワ・トルテに至るまでの弓の歴史をお話ししたいと思います。

楽弓の起源は狩りに使う弓矢ではないかと言われていて、ハープも同じ弓矢が起源では?とも言われています、もしかしたら楽弓とハープは兄弟なのかもしれません。

狩りに使う弓矢が起源としてお話しさせて頂くと、今の楽弓の形と昔の形はカーブの形がまるで違いました。バロックボウを見たことがある方は解るかもしれませんがバロックボウは弓先に行くにしたがって反りが逆になります。

bow-reki

この図、一括りにバロックボウですが、最初の頃の弓に比べ年代が経つと反りが逆になっていくのが分ると思います。

では、なぜ狩りに使う弓のカーブからほぼ逆のカーブへと移行していったのでしょうか・・・

実際に弓を使って実験してみるとすぐにわかりますが、逆反りの弓で楽器を弾こうとすると安定性と直進性が無くフラフラしてとても弾きにくくなります、つまり弓が今のような反りになっていったのは直進性の確保、弾きやすさを追求していった結果だと思います。

バイオリン属が登場したのが16世紀頃ですのでそのころから弓の形状もどんどん弾きやすく変わっていったのではないでしょうか。

今でこそ、前回お話しした弓の材料はペルナンブーコが一番良いとされていますがバロックボウはペルナンブーコに比べると重く、硬い材料でアイアンウッドやスネークウッドという材料が多く使われていました。

バロックボウ以後オールドボウの時代にもペルナンブーコ以外で作られた弓は結構あります。トルテ以降ペルナンブーコは高価で手に入りにくくなっていったとも言われていますが、フランス革命後のフランスの情勢の不安定さなのかは分りません。この時代は1789年の革命からナポレオンの時代へと続く歴史の真っただ中ですから輸入が途絶えたり流通がなくなったのかもしれません。、こんな中生きるために弓を作り続けていたんですね。

こうして弓の形とともに機能性が進化してきた楽弓は図の一番下に出ているビオッティ(イタリアのバイオリン演奏家)がパリで活躍中のトルテと出会いこんな感じにしてくれ!!とでも言ったんでしょうか?助言をし、トルテが試行錯誤して今の弓の反りになったと言われています。

最初は通奏低音を弾くためのものだったので早いパッセージなどは必要なかったのが、バイオリン属の発展とともに必要になったため進化して、現在の形にトルテにより完成さました。ここまでがバロックボウの歴史と言っても良いと思います。

弓のシャフトの削り方、フロッグの形の様々な改良、工夫がなされトルテを超えるものを作ろうと後の製作者が作り続けても超えられない、故に弓のストラディバリと呼ばれています。

次回はそんなトルテの話も交えつつ弓のタイプの話をしようと思っています。

では、また次回。「弓の話3」で!

井田

 

弓の話 1

さて、年始に弓の話をします、と言って1ヵ月経ってしまいました…。

忘れてた訳じゃないですよ、パソコンに向かう時間を作らなかったと言い訳しておきます。ごめんなさい。

それでは弓の話です。

今回は弓の材料、フェルナンブーコと言う材料についてです。

このフェルナンブーコと言う材は豆科の木で原産国はブラジルです。

「赤い木」という意味でブラシルの国名にもなっているものです。この木がなぜヨーロッパに渡ったかというと、このフェルナンブーコはブラジリンという染料が採れるためにヨーロッパで輸入したのが始まりではないかと思います。

水、アルコールに浸けると鮮やかな赤オレンジ色が出ますが、酸化しやすくしばらくすると赤黒くなっていきます。

今現在、この木は過度の伐採により絶滅の恐れがありワシントン条約によって輸出入できません。今弓メーカーが生産できているのは2007年にワシントン条約で輸出入禁止が決まった以前に伐採され、輸入した分で作っているからなんです。

そのうち「弓はフェルナンブーコ」と言うのは過去の話しになって、カーボンファイバー、グラスファイバーで作られた弓が主流になる世の中が来るかもしれませんね。

楽器もカーボンで作られたのが出てきている世の中ですから楽器も弓もカーボン!!みたいな時代になって行きつつありそうで恐いです。

ちょっと話が逸れましたが当時ポルトガルの植民地だったブラジルから染料として入ったフェルナンブーコが18世紀にフランスのフランソワ・トルテにより最高の弓材と認められた為に弓にとってフェルナンブーコは必須アイテムになりました。

それはトルテの時代から今も変わらず続いています。

これがフェルナンブーコの木です。弓の色からは想像できないくらい普通ですね、木の中心が赤い色をしていて、まわりは白い木です。黒檀や柿の木等も同じ仕組みです。

次回は弓を完成させたと言われているフランソワ・トルテに至る弓の形の変遷をお話しようと思います。

下書等なくいきなり書き始めているので伝わりにくい所などあると思います。

そんな時にはどしどし質問受け付けます、分からないことも多いので調べながらですがf(^_^;

ではまた次回!「弓の話 2」です。お楽しみに!

井田

弓の話

2014年の挨拶からこんなに時間が経ってしまいました。

今年は、色々な歴史や文化を投稿形式で連載していこうと思い、その第一歩で弓の歴史と今の弓作りや購入できる弓について自分なりの解釈をふまえて綴っていこうと思います。

普段、楽器をお弾きになる方や演奏家の方も、弓まであまり関心がいかないようで、もろろん全員がそうではないですが…

例えば弓の毛を替えるとき弓をばらすのですが、「弓の毛ってこんなふうに入っていたんですね~」と言われることがたまにあります。

僕も昔バイオリンを弾いていたことがあり毛替えをしに楽器屋さんに出したことはありましたが、自分の目で見たことはありませんでした。大概の楽器屋さんは預かって翌日だったり、隣の部屋に行ってしまい毛替えをする所は見られない所が多いですね。

そんな中当工房親方はカウンター越しでお客さんの目の前でやるもんですからこんな会話になるんです。

職人にとってはものすごいプレッシャーですが…

と、まぁこんな感じで弓の構造も弓の歴史も知って貰いたい、弓は楽器の付属品ではなくて一つの楽器としての道具ですよ。ということを知っていもらえたらいいなと思います。

では、次回から本格的に始まりますのでよろしくお願いいたします。

ちなみに不定期です( ̄▽ ̄;)週刊とか隔週とかは決めていません。

この歴史、解釈の仕方も諸説、また人により様々ですので、これから書くものが全てではありませんが興味のある方はぜひご一読ください。

 

井田